役員報酬の決め方 完全ガイド【2025年版】一人社長の最適額は?
法人化したばかりの経営者にとって、「役員報酬をいくらにすべきか」は、とても悩ましい問題ですよね。
報酬が高すぎると個人の社会保険料や税金が増えてしまいますし、低すぎると今度は会社の法人税が高くなってしまいます。最適な金額を見つけるには、これらすべてをトータルで考える必要があるんです。
本記事は2025年10月19日時点の法令・税制・社会保険料率に基づく一般的な情報です。
個人事業主の方へ: 個人事業主には「役員報酬」という概念はなく、事業の利益がそのまま個人の所得となります。法人化すると役員報酬の設定が可能になり、給与所得控除などの恩恵を受けられますが、社会保険料負担や法人運営コストも増えます。法人化を検討中の方は、ぜひ税理士にご相談ください。
この記事では、一人社長や小規模法人経営者の方に向けて、役員報酬の最適額を無料でシミュレーションする方法を3つのステップでわかりやすく解説します。会社の利益800万円の具体例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
この記事で分かること:
- 役員報酬の基本となる3つのルール
- なぜ役員報酬の金額が重要なのか
- 最適な役員報酬を決めるための3つのステップ
- 【具体例】会社の利益800万円の一人社長の最適額シミュレーション
- 無料で使えるシミュレーションツールの紹介
役員報酬とは?知っておきたい3つの基本ルール
まず、役員報酬には税務上のルールがあります。少し専門的に聞こえるかもしれませんが、「こういう決まりがあるんだな」と知っておくだけで大丈夫です。
役員報酬として会社の経費(損金)にできるのは、主に以下の3種類です。
- 定期同額給与: 毎月同じ金額の給与のこと。ほとんどの中小企業はこれです。
- 事前確定届出給与: いわゆるボーナス(賞与)です。事前に税務署へ「いつ、誰に、いくら支払うか」を届け出る必要があります。
- 業績連動給与: 会社の利益に連動して支払われる給与です。手続きが複雑なため、主に大企業で使われます。
一人社長や小規模法人の場合は、基本的に「1. 定期同額給与(毎月同じ金額の給与)」だけを考えれば問題ありません。損金算入の要件を満たすため、事業年度開始から3ヶ月以内に金額を決定し、それ以降は原則として変更しない運用が一般的です。
具体的な手続や個別事情は、必ず税理士・社労士にご相談ください。
なぜ役員報酬の金額が重要なのか?
「役員報酬をいくらに設定しても、会社から個人にお金が移るだけでは?」と思うかもしれません。でも実は、金額によって会社と個人が支払う社会保険料と税金の合計額が大きく変わってくるんです。
役員報酬は給与所得として、毎月源泉徴収(所得税の前払い)が必要です。源泉徴収後、年末調整または確定申告で最終的な税額が確定します。
また、社会保険料は、健康保険・厚生年金・介護保険(40歳以上)の総称で、会社と個人で折半して負担します。報酬が高いほど保険料も増えますが、将来の年金額にも反映されますね。
役員報酬を高く設定した場合
- 個人の所得が増えるので、個人の社会保険料・所得税・住民税が高くなります。
- 会社の利益が減るので、会社の法人税は安くなります。
役員報酬を低く設定した場合
- 個人の所得が減るので、個人の社会保険料・所得税・住民税は安くなります。
- 会社の利益が増えるので、会社の法人税は高くなります。
このように、個人と会社はシーソーのような関係になっています。どちらか一方だけを考えても、全体の負担は減らせません。大切なのは、会社と個人の負担額を合計した「総支払額」が最も少なくなるバランスを見つけることです。
具体的な手続や個別事情は、必ず税理士・社労士にご相談ください。
3ステップで簡単!役員報酬の決め方
それでは、具体的にどうやって最適な役員報酬を決めればよいのでしょうか。顧問税理士がいない方でも、この3ステップで進めれば大丈夫です。
ステップ1:会社の利益を予測する
まず、今期の会社の利益がどれくらいになりそうか、ざっくりと予測します。売上から経費を引いた金額ですね。役員報酬も経費の一部なので、ここでは「役員報酬を支払う前の利益」を考えます。
正確な数字でなくても構いません。「だいたい800万円くらいかな」といった概算でOKです。
ステップ2:複数の報酬パターンで総支払額をシミュレーションする
次に、いくつかの役員報酬のパターンで、会社と個人の「総支払額」がどう変わるかをシミュレーションします。
一般的には、年間利益の50~70%程度を役員報酬にすると、法人税と個人税のバランスが取りやすいと言われています。ただし、社会保険料の負担も考慮する必要があるため、シミュレーションでの検証が重要です。
例えば、「月50万円(年600万円)」「月60万円(年720万円)」「月70万円(年840万円)」といった複数のパターンでシミュレーションしてみましょう。
このシミュレーションは非常に複雑ですが、役員報酬決め方ナビを使えば、必要な情報を入力するだけで、社会保険料や税金を自動でシミュレーションし、最適な金額を簡単に見つけられます。完全無料・登録不要で今すぐ使えます。
ステップ3:株主総会で決定し、議事録を作成する
最適な金額の目星がついたら、事業年度開始から3ヶ月以内に株主総会を開き、その金額を正式に決定します。一人社長の場合、株主は自分のみですが、会社法上は正式に株主総会を開催(書面決議も可能)し、決議した内容を議事録として保存する必要があります(会社法第361条・第319条)。これは、税務調査などで決定の根拠を示すために非常に重要です。
具体的な手続や個別事情は、必ず税理士・社労士にご相談ください。
【具体例】会社の利益800万円の一人社長の場合
「理屈はわかったけど、具体的にいくらがいいの?」と思いますよね。ここで、売上1,000万円、経費を引いた会社の利益が800万円の一人社長(45歳・東京都在住)を例に見てみましょう。
前提条件: 45歳、東京都在住、配偶者控除等なし。社会保険料率は2025年度(協会けんぽ東京:9.91%、介護保険:1.59%、厚生年金:18.3%)でシミュレーションしています。これらの数値は概算であり、個別の状況によって変動します。
ケース1:役員報酬を月50万円(年600万円)にしたシミュレーション
この場合、個人の手取り(役員報酬から社会保険料と税金を差し引いた額)は約430万円になります。会社が支払う社会保険料と法人税などを合わせると、会社と個人の総支払額(社会保険料(会社・個人)+所得税+住民税+法人税等)は約300万円になります。
ケース2:役員報酬を月60万円(年720万円)にしたシミュレーション
一方、役員報酬を月60万円にすると、個人の手取りは約500万円になります。そして、会社が支払う社会保険料と法人税などを合わせると、会社と個人の総支払額は約290万円になります。
結論:月60万円の方が約10万円おトク!
驚くかもしれませんが、このシミュレーションでは役員報酬を月60万円にした方が、総支払額が年間で約10万円も少なくなります。
「給料を上げたら、社会保険料や税金も増えて損するんじゃないの?」と感じるかもしれませんが、実は会社に残った利益にかかる法人税よりも、役員報酬として個人で受け取った方が、税率が低くなる場合があるんです。
このように、最適なバランスを見つけることが、手取りを最大化する上でとても大切なんですね。
具体的な手続や個別事情は、必ず税理士・社労士にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 役員報酬はいつ変更できますか?
定期同額給与の金額を変更して損金算入を維持できるのは、原則として事業年度開始から3ヶ月以内の改定に限られます(法人税法施行令第69条)。それ以降の改定は、職務内容の重大な変更や業績悪化など、法令で定める例外事由に該当しない限り、損金不算入となるリスクがあります。
Q2. 妻を役員にして給与を支払うと節税になりますか?
所得を分散することで、世帯全体での税負担を軽減できる可能性があります。ただし、勤務実態がないと否認されるリスクもあります。配偶者への報酬を考える場合も、シミュレーションツールで試算してみるのがおすすめです。
Q3. 役員賞与(事前確定届出給与)は使った方がいい?
業績が安定していて年度末の利益が予測しやすい場合、賞与として分散支給することで社会保険料を抑える効果が期待できます(賞与の保険料には上限があります)。ただし、届出額と1円・1日でもズレると損金不算入になるため、リスクを考慮して慎重に判断してください。
Q4. なぜ「役員報酬決め方ナビ」は無料なのですか?
当サービスは、一人社長や小規模法人経営者の方を支援するために作られた、広告なし・登録不要の完全無料ツールです。より多くの方にご利用いただくことを目的としており、将来的に税理士事務所などへの事業譲渡を視野に入れているため、ユーザー体験を最優先し、無料で提供しています。
まとめ:最適な役員報酬シミュレーションで手取りを最大化しよう
役員報酬の最適額は、会社の利益やあなたの年齢、家族構成などによって変わります。大切なのは、個人の負担と会社の負担をトータルで考え、総支払額が最も少なくなるポイントをシミュレーションで見つけることです。
この記事で紹介した3ステップを参考に、ぜひご自身の最適な役員報酬を見つけてみてください。
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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については顧問税理士にご相談ください。