ブログ一覧に戻る
【2025年最新】役員報酬の決め方|社会保険料と手取りの最適シミュレーション(利益500万〜5,000万で比較)

【2025年最新】役員報酬の決め方|社会保険料と手取りの最適シミュレーション(利益500万〜5,000万で比較)

社会保険 #役員報酬 #社会保険料 #手取り #節税

【2025年最新】役員報酬の決め方|社会保険料と手取りの最適シミュレーション(利益500万〜5,000万で比較)

法人化したばかりの一人社長にとって、「役員報酬をいくらにすべきか」は、本当に悩ましい問題ですよね。

報酬を高くすれば手取りは増えますが、社会保険料の負担も一気に増えてしまいます。かといって、報酬を低くしすぎると、会社に利益が残りすぎて法人税が高くなることも。

実は、会社と個人が国や自治体、社会保険に支払う「総負担額」が最も少なくなる、最適なバランスが存在します。

結論からお伝えすると、会社の利益が500万円〜2,000万円くらいまでは、役員報酬を抑えめにして社会保険料の負担を減らすのがおすすめです。しかし、利益が3,000万円を超えてくると、社会保険料の上限を意識しつつ、あえて報酬を高く設定する戦略も有効になってきます。

この記事では、一人社長や小規模法人経営者の方に向けて、会社の利益500万円から5,000万円までのパターン別に、社会保険料と手取りの最適バランスをわかりやすくシミュレーション解説します。

【ご注意ください】 本記事は「法人成り後の役員報酬」に関する内容です。個人事業主・フリーランスの方は、国民健康保険・国民年金と所得税の最適化が主な論点となりますので、まずはそちらからご検討くださいね。

この記事でわかること

  • なぜ会社と個人の「総負担額」を最小化することが重要なのか
  • 会社の利益別(500万~5,000万)の最適バランスの具体例をシミュレーション
  • 最適な役員報酬を今すぐ無料でシミュレーションできるツール

なぜ「社会保険料」と「手取り」のバランスが重要なのか?

役員報酬を決めるとき、つい自分の「手取り額」だけを見てしまいがちですよね。でも、本当に大切なのは、「会社」と「個人」が国や自治体、社会保険に支払うお金の総額を最小化することです。

ここでいう「手取り」とは、役員報酬から社会保険料(本人負担分)、所得税、住民税を差し引いた、実際にあなたが自由に使えるお金のことですよ。

役員報酬を決めると、主に3つのお金が動きます。

  1. 社会保険料: 会社と個人で半分ずつ負担します。報酬が高いほど増えますが、上限があります。
  2. 所得税・住民税: 個人の報酬にかかる税金です。報酬が高いほど増えます。
  3. 法人税: 会社の利益にかかる税金です。役員報酬は会社の経費になるため、報酬が高いほど会社の利益が減り、法人税は安くなります。

つまり、個人の手取りを増やそうと報酬を上げると社会保険料が増え、逆に報酬を下げて会社の利益を残すと法人税が増えるという、シーソーのような関係になっています。

このシーソーのバランスが一番取れたところが、あなたにとっての最適な役員報酬額なのです。

【会社の利益別】社会保険料と手取りの最適シミュレーション

それでは、会社の利益別に最適バランスの例を見ていきましょう。 ここでは、よくある4つのパターンで、会社と個人の総負担がどう変わるかをシミュレーションしてみます。

※前提条件:大阪府(2025年度協会けんぽ率)、40歳以上(介護保険料あり)、扶養家族なし、役員報酬以外の経費は考慮しないものとします。 (注:記事中の「約」は概算値であり、実際の計算結果とは数万円程度の誤差が生じる場合があります。正確な金額は「役員報酬決め方ナビ」でシミュレーションするか、税理士にご相談ください。)

会社の利益500万円のケース

フリーランスから法人化したばかりの、売上800万円、経費を引いた会社の利益が500万円の一人社長を想定してみましょう。

役員報酬(月額)社会保険料(会社+個人)所得税・住民税法人税総負担額(会社+個人)
360万円(月30万円)約108万円約20万円約28万円約156万円
480万円(月40万円)約144万円約33万円約0万円約177万円

このシミュレーションでは、役員報酬を月30万円に抑えた方が、年間の総負担が約21万円も少なくなります。報酬を上げすぎると、社会保険料の負担が重くなってしまう良い例ですね。

会社の利益1,000万円のケース

事業が軌道に乗り、売上1,500万円、経費を引いた会社の利益が1,000万円になった場合です。

役員報酬(月額)社会保険料(会社+個人)所得税・住民税法人税総負担額(会社+個人)
600万円(月50万円)約180万円約50万円約92万円約322万円
840万円(月70万円)約252万円約90万円約37万円約379万円

この場合も、役員報酬600万円(月50万円)の方が、年間の総負担が約57万円もお得です。利益が増えても、むやみに報酬を上げると損をしてしまう可能性があることがわかります。

会社の利益2,000万円のケース

さらに事業が成長し、売上3,000万円、経費を引いた会社の利益が2,000万円になったケースです。

役員報酬(月額)社会保険料(会社+個人)所得税・住民税法人税総負担額(会社+個人)
1,200万円(月100万円)約360万円約200万円約186万円約746万円
1,500万円(月125万円)約450万円約300万円約116万円約866万円

ここでも、役員報酬1,200万円(月100万円)の方が、年間で約120万円も負担が少ない結果となりました。

会社の利益3,000万円以上のケース

利益が3,000万円を超えてくると、少し状況が変わります。

実は、社会保険料には上限があります。2025年度の標準報酬月額の上限は、健康保険が1,479,000円、厚生年金が1,494,000円です。この金額を超えると、それ以上は保険料が上がりません。また、賞与にも上限があり、健康保険は年度累計573万円、厚生年金は1回あたり150万円が上限となります。 (注:これらの上限額は、厚生労働省が公表する最新の標準報酬月額等級表(協会けんぽ・厚生年金)で必ずご確認ください。)

そのため、会社の利益が非常に大きい場合は、あえて役員報酬を高く設定して社会保険料を上限にし、会社の利益を圧縮して法人税を抑えるという戦略が有効になることがあります。

ただし、このレベルになると個人の所得税率も非常に高くなるため、配偶者への役員報酬の配分や、退職金の活用など、より高度な判断が必要になります。

あなたの最適バランスを今すぐ無料シミュレーション

ここまで利益帯別のケースを見てきましたが、「自分の場合はどうなるの?」と気になりますよね。

上記のような複雑な計算を自分で行うのは大変です。 そこで、役員報酬決め方ナビ を使えば、あなたの会社の利益やあなたの年齢に合わせて、社会保険料・税金の総負担額が最も少なくなる役員報酬額を完全無料でシミュレーションできます。

  • 完全無料(広告なし・登録不要)
  • 簡単入力で最適な報酬額がすぐわかる
  • ✅ 複数のパターンを比較検討できる

顧問税理士に相談する前のたたき台として、ぜひご活用ください。

役員報酬決め方ナビで今すぐ無料でシミュレーションする →

最適バランスを見つけるための3つの注意点

最後に、最適な役員報酬を決める上で見落としがちな注意点を3つご紹介します。

1. 「定期同額給与」のルールを守る

役員報酬は、原則として事業年度の途中では変更できません。「毎月同じ金額を支払う」という「定期同額給与」のルールを守らないと、経費として認められない可能性があります(法人税法施行令第69条)。事業年度が始まってから3ヶ月以内に決めましょう。

2. 40歳になると介護保険料の負担が始まる

40歳になると、健康保険料に加えて「介護保険料」の負担が始まります。例えば、月給50万円の場合、会社と本人合わせて年間おおむね約7.4万円(本人負担は約3.7万円)の負担増となります。誕生日を迎えるタイミングでシミュレーションを見直すのがおすすめです。

3. 会社のキャッシュフローを考慮する

シミュレーションで最適な金額がわかっても、その報酬を支払うだけの現金が会社になければ意味がありません。必ず会社のキャッシュフローを確認し、無理のない範囲で報酬額を決定しましょう。

個人事業主と法人、社会保険と税金の考え方の違い

フリーランスや個人事業主の方で、法人化を検討している方もいらっしゃるかもしれませんね。ここで、個人事業主と法人で社会保険と税金の考え方がどう違うのか、簡単に見ていきましょう。

  • 個人事業主の場合
    • 社会保険: 国民健康保険と国民年金に加入します。保険料は所得に応じて決まりますが、会社負担分はありません。
    • 税金: 所得税と住民税がかかります。青色申告特別控除(最大65万円)などの制度を活用できます。
  • 法人の場合
    • 社会保険: 協会けんぽ(健康保険)と厚生年金に加入します。保険料は会社と個人で半分ずつ負担します。
    • 税金: 法人税、所得税、住民税がかかります。役員報酬は会社の経費になります。

法人化すると社会保険料の負担が増えることが多いですが、役員報酬の調整によって法人税を含めた総負担額を最適化できる可能性があります。

知っておきたい!税金と社会保険の期限

税金や社会保険には、それぞれ提出や納付の期限があります。うっかり忘れてしまわないように、主な期限を確認しておきましょう。

  • 個人の確定申告: 毎年3月15日まで(休日の場合は翌営業日)。
  • 法人の確定申告: 事業年度終了の日から原則2ヶ月以内。
  • 社会保険料の納付: 翌月末日。

まとめ:専門家への相談とシミュレーションで最適な役員報酬を

役員報酬の最適額は、会社の利益、社長の年齢や家族構成など、様々な要因で変わります。大切なのは、手取り額だけでなく、社会保険料・所得税・法人税まで含めた「総負担額」で判断することです。

まずは 役員報酬決め方ナビ で、あなたの会社にとっての最適なバランスをシミュレーションしてみてください。

ただし、この記事やツールでわかるのはあくまでシミュレーション上の概算値です。役員報酬の最終的な決定や、個別の節税対策については、必ず税理士などの専門家にご相談ください。このツールは、専門家に相談する前の「事前検討ツール」としてご活用いただくのが最も効果的です。


【補足】源泉徴収について 役員報酬の源泉徴収税額は、国税庁が定める「給与所得の源泉徴収税額表」に基づいて計算されます。一律10.21%が適用されるのは、特定の報酬・料金(例えば、原稿料や講演料など)の一部区分であり、役員報酬には適用されませんのでご注意ください。

【補足】インボイス制度の経過措置について 適格請求書発行事業者ではない事業者からの課税仕入れについては、以下の期間で仕入税額相当額の一定割合を控除できます。

  • 2023年10月1日〜2026年9月30日:仕入税額の80%
  • 2026年10月1日〜2029年9月30日:仕入税額の50% (出典:国税庁「インボイス制度の概要」)

役員報酬を最適化してみませんか?

無料のシミュレーションで、あなたの会社に最適な役員報酬額を計算できます。

今すぐ計算してみる

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については顧問税理士にご相談ください。