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2025年最新|個人開発者の法人化で知るべき役員報酬用語と決め方【シミュレーション】

2025年最新|個人開発者の法人化で知るべき役員報酬用語と決め方【シミュレーション】

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2025年最新|個人開発者の法人化で知るべき役員報酬用語と決め方【シミュレーション】

法人を設立して社長になると、必ず向き合うことになるのが「役員報酬」です。

「役員報酬って、普通の給料と何が違うの?」 「定期同額給与とか、損金算入とか、専門用語が難しくて…」

そんな風に感じている一人社長や小規模法人の経営者の方も多いのではないでしょうか。

【注意】 個人事業主の方には「役員報酬」という概念はありません。個人事業主の事業の儲けは、そのまま事業主個人の所得となります。この記事で解説する「役員報酬」は、法人を設立した場合に適用される内容ですので、ご自身の状況に合わせて読み進めてくださいね。

大丈夫です。役員報酬のルールは一見複雑に見えますが、ポイントさえ押さえれば決して難しくありません。

この記事では、あなたが最低限知っておくべき役員報酬の専門用語を、どこよりもわかりやすく解説します。

個人事業主と役員報酬の違いって?法人化を検討する前に知っておこう

個人開発者やフリーランスとして活動されている方は、「役員報酬」という言葉に馴染みがないかもしれませんね。

個人事業主の場合、事業で得た利益はすべて「事業所得」として、そのままご自身の収入になります。会社から給料をもらうという形ではないので、「役員報酬」という概念は存在しないんです。

一方、法人を設立すると、会社とあなたは別人格になります。会社は会社で利益を出し、あなたは会社の役員として、会社から「役員報酬」という形で給料を受け取ることになります。

つまり、役員報酬は「法人化」して初めて登場する、会社から役員へ支払われる特別な給料だと理解しておきましょう。

そもそも「役員報酬」とは?会社員の給料との違い

まず、一番大事なキホンから。

役員報酬とは、ひとことで言うと「社長や取締役など、役員が会社から受け取る報酬」のことです。

会社員がもらう「給料」と似ていますが、税金の世界では全くの別物として扱われます。

役員報酬会社員の給料
対象者社長、取締役などの役員従業員
金額の決め方株主総会で決める雇用契約書で決める
変更の自由度原則、年に1回比較的自由にできる
税法上の扱い厳しいルールを守らないと経費にならない基本的にすべて経費になる

一番の違いは、「金額を自由に変えられない」という点です。

会社員の給料は会社の業績に応じて上げたり下げたりできますが、役員報酬は「利益が出たから、今月だけ自分の報酬を増やそう」といったことが原則できません。

なぜなら、役員報酬を自由に操作できると、会社の利益を不当に調整(節税)できてしまう可能性があるため、税務署が厳しくチェックしているからです。

【最重要】役員報酬のキホン用語5選

ここからは、役員報酬を決める上で必ず出てくる必須用語を5つご紹介します。

1. 損金算入(そんきんさんにゅう)

一言でいうと、「会社の経費として認められること」です。

「損金」と聞くと少し怖い言葉に聞こえるかもしれませんが、税法上の「経費」だと思ってください。

役員報酬が損金算入されると、その分会社の利益が減るので、結果的に法人税を安くすることができます

逆に、ルールを守らずに支払った役員報酬は損金算入が認められず、経費になりません。その場合、会社では損金不算入により法人税負担が増え、役員個人にも所得税が課されるという「二重の負担」となってしまいます。 (根拠:法人税法第34条および同施行令の関連規定)

だからこそ、役員報酬は「損金算入できるルール」を守ることが鉄則なのです。

2. 定期同額給与(ていきどうがくきゅうよ)

一言でいうと、「毎月決まった日に、決まった金額を支払う役員報酬」のことです。

これは、役員報酬を損金算入するための最も基本的で、最も一般的な方法です。ほとんどの中小企業はこの方法を採用しています。

「毎月同じ金額」というシンプルなルールを守るだけで、確実に損金算入が認められるため、一人社長や小規模法人にとっては一番安全で管理しやすい方法と言えるでしょう。

金額を変更できるのは、原則として以下の3つのケースに限られます。

  1. 事業年度が始まってから3ヶ月以内の定時改定
  2. 役員の職制上の地位の変更や、職務内容の重大な変更があった場合の随時改定
  3. 会社の経営状況が著しく悪化するなど、**やむを得ない事情(臨時改定事由)**があった場合の改定

(根拠:法人税法施行令第69条)

3. 事前確定届出給与(じぜんかくていとどけで きゅうよ)

一言でいうと、「役員にボーナス(賞与)を支払うための制度」のことです。

「いつ、誰に、いくら支払うか」を事前に税務署に届け出て、その通りに支払うことで、ボーナスも損金算入が認められます。

ただし、届け出た金額や支払日と1円でも、1日でもズレると損金算入が認められないという非常に厳しいルールがあります。

実務的には、対象者・支給時期・金額を株主総会等で決議し、所轄税務署に届出期限までに提出する必要があります。この届出期限は、原則として「株主総会等の決議をした日から1ヶ月以内」または「事業年度開始の日から4ヶ月以内」のいずれか早い日とされていますが、最新の正確な期限は国税庁のウェブサイトなどで必ずご確認ください。

そのため、業績の予測が難しい中小企業、特に一人社長や小規模法人で利用されるケースはあまり多くありません。まずは「定期同額給与」をしっかり設定することが大切です。

4. 利益連動給与(りえきれんどうきゅうよ)

一言でいうと、「会社の利益に応じて金額が変わる、業績連動型の役員報酬」のことです。

これは主に上場企業など、客観的な指標を算定できる大企業向けの制度です。非常に複雑な要件があるため、中小企業や一人社長にはほとんど関係ありません。

「こんな方法もあるんだな」くらいの理解で大丈夫です。

5. 株主総会(かぶぬしそうかい)

「一人社長なのに株主総会?」と驚かれるかもしれませんね。

法律上、役員報酬の金額は株主総会で決めることになっています。たとえ社長一人の会社(株主も自分一人)であっても、この手続きは必要です。

もちろん、実際に大勢で集まる必要はありません。「株主総会議事録」という書類を作成し、「役員報酬は月額〇〇円とします」と決議した記録を残しておくことが重要です。定款または株主総会決議で報酬限度額などを決定することになります。

この議事録が、税務調査の際に「きちんと手続きを踏んで報酬額を決めた」という証拠になります。

社会保険料・税金のキホン用語

役員報酬を決めるときは、社会保険料や税金のことも考える必要があります。ここでは特に重要な用語を2つだけご紹介します。

1. 標準報酬月額(ひょうじゅんほうしゅうげつがく)

一言でいうと、「社会保険料(健康保険・厚生年金)を計算するための基準額」のことです。

実際の月給そのものではなく、月給をキリの良い幅で区切った「等級」に当てはめて計算します。

例えば、役員報酬が月額40万円でも42万円でも、同じ「等級」であれば社会保険料は同額になります。しかし、等級の境目を1円でも超えると、社会保険料がガクッと上がることがあります。この仕組みを知っておくと、役員報酬の金額を決めるときに、無駄な社会保険料の負担を避けるヒントになります。

標準報酬月額は、原則として年に1回、4月〜6月の報酬月額の平均で決定される「定時決定」と、固定的賃金(基本給など)が大きく変動した場合に行われる「随時改定」によって見直されます。

2. 給与所得控除(きゅうよしょとくこうじょ)

一言でいうと、「役員報酬や給料をもらっている人が、所得税を計算する前に年収から差し引ける経費のようなもの」です。

自営業者の「必要経費」に近いイメージですね。

役員報酬の額に応じて、法律で定められた金額が自動的に差し引かれます。最低額は年間55万円です。自分で計算する必要はありませんが、「年収がそのまま課税対象になるわけではない」と覚えておきましょう。

個人開発者・フリーランスのための役員報酬シミュレーションと法人化のヒント

「用語はわかったけど、じゃあ具体的にいくらにすれば一番トクなの?」 「そもそも、いつ法人化すればいいの?」

そう思われた方も多いでしょう。最適な役員報酬額は、会社の利益や社長個人の状況によって変わるため、計算は非常に複雑です。また、法人化のタイミングも個人の状況によって様々です。

法人化を検討するタイミングとメリット・デメリット

個人事業主から法人化するタイミングは、主に以下のような点が目安になります。

  • 売上が増えてきたとき(特に消費税の免税事業者でなくなる1,000万円超)
    • 基準期間(原則2年前)の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の課税事業者になります。法人化することで、消費税の納税義務を新たに2年間免除される可能性があります(ただし、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合など、例外もあります)。
    • インボイス制度の導入により、免税事業者からの仕入れが控除対象外となるため、取引先との関係も考慮が必要です。経過措置として、一定期間は仕入税額相当額の80%または50%を控除できる特例がありますが、期限が設けられていますので、最新の情報を確認しましょう。
  • 所得税の負担が大きくなってきたとき
    • 個人の所得税は累進課税で、所得が増えるほど税率が上がります(最低5%から最高45%)。住民税と合わせると最大55%にもなります。会社の法人税率の方が低くなる場合、法人化した方が税負担を抑えられる可能性があります。
    • 個人の基礎控除は48万円です。
  • 社会的な信用を高めたいとき
    • 法人の方が、個人事業主よりも社会的な信用が得やすい場合があります。
  • 社会保険に加入したいとき
    • 法人化すると、原則として社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務付けられます。個人事業主の国民健康保険・国民年金に比べて、保障が手厚くなるメリットがあります。

法人化にはメリットだけでなく、設立費用や維持コスト、事務手続きの増加といったデメリットもあります。ご自身の事業規模や将来の展望に合わせて慎重に検討しましょう。

フリーランスの源泉徴収について(法人化前の方へ)

法人化前のフリーランスの方で、原稿料やデザイン料、講演料などを受け取っている場合、報酬から所得税が源泉徴収されていることがあります。

  • 源泉徴収の対象となる報酬:特定の報酬(原稿料、講演料、デザイン料など)に対して、支払者が所得税を天引きして国に納める制度です。
  • 税率:原則として、報酬額の10.21%(100万円を超える部分は20.42%)が源泉徴収されます。
  • 確定申告での精算:源泉徴収された税金は、年末調整では精算されません。確定申告を行うことで、年間の所得税額が確定し、源泉徴収された金額との差額が還付されたり、追加で納税したりすることになります。

ご自身の報酬が源泉徴収の対象かどうか、また、確定申告でどのように精算されるかを確認しておくことが大切です。

まとめ:まずは「定期同額給与」と「損金算入」を覚えよう

たくさんの用語が出てきて、少し頭が混乱してしまったかもしれませんね。

でも、大丈夫です。一人社長や小規模法人の経営者がまず絶対に押さえるべきなのは、たった2つです。

  • 損金算入: 役員報酬を経費にするためのルール。これができないと会社と個人で「二重の負担」になってしまう。
  • 定期同額給与: 損金算入するための最も安全な方法。「毎月同額」が合言葉。改定できるのは原則3つのケースだけ。

この2つさえ理解しておけば、役員報酬の基本はOKです。

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「用語はわかったけど、じゃあ具体的にいくらにすれば一番トクなの?」

そう思われた方も多いでしょう。最適な役員報酬額は、会社の利益や社長個人の状況によって変わるため、計算は非常に複雑です。

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については顧問税理士にご相談ください。