【2025年最新】年商500万円の一人社長|役員報酬の最適額はいくら?社会保険・税金込みで徹底シミュレーション
「ようやく法人化できたけど、自分の給料(役員報酬)はいくらにすればいいんだろう…?」
フリーランスから法人成りしたばかりの一人社長にとって、これは本当に悩ましい問題ですよね。役員報酬を高く設定しすぎると個人の社会保険料や税金が重くなりますし、低すぎると今度は会社の利益に法人税がたくさんかかってしまいます。
この記事では、2025年最新版として、年商500万円の一人社長という具体的なケーススタディを通じて、会社と個人の手元に一番多くお金が残る「最適な役員報酬額」の考え方を、シミュレーションを交えながら分かりやすく解説します。法人住民税の均等割や、会社負担分の社会保険料も考慮に入れた、より実践的な内容でお届けします。
顧問税理士に相談する前に、まずはご自身で最適な金額のあたりを付けてみませんか?
今回のケーススタディ:Webデザイナーの鈴木さん
まずは、今回のモデルケースとなる一人社長の鈴木さんの状況を見てみましょう。
- 事業内容: Webデザイナー
- 年齢: 35歳(介護保険料の負担はまだない)
- 所在地: 東京都
- 扶養家族: なし
- 会社の業績(年間):
- 売上(年商): 500万円
- 経費: 200万円
- 役員報酬を支払う前の利益: 300万円
この300万円を、役員報酬として鈴木さん個人が受け取るか、会社の利益として残すか、そのバランスをどう決めるかが今回のテーマです。
前提条件
シミュレーションを行うにあたり、以下の前提条件を設定します。
- 対象年度: 2025年度(令和7年度)
- 対象地域: 東京都
- 社会保険:
- 標準報酬月額の等級決定方法:協会けんぽの等級区分に準拠
- 健康保険料率(東京都):9.84%(個人負担4.92%、会社負担4.92%)
- 厚生年金保険料率:18.3%(個人負担9.15%、会社負担9.15%)
- 税金:
- 個人:所得税、住民税、個人負担の社会保険料
- 法人:法人税、地方法人税、法人住民税(所得割、均等割)、事業税、会社負担の社会保険料
- 消費税: 免税事業者(インボイス登録なし、簡易課税適用なし)
- 端数処理:
- 社会保険料:標準報酬月額を基に計算(等級単位)、端数処理は各制度の告示に準拠
- 税額:所得税は円未満切捨て、住民税は100円未満切捨て
計算方法
役員報酬額から、会社と個人の負担額を計算する流れは以下の通りです。
- 標準報酬月額の決定: 役員報酬額を基に、標準報酬月額を決定します。
- 社会保険料の計算: 標準報酬月額から、健康保険料と厚生年金保険料を計算します(個人負担分と会社負担分)。
- 個人の課税所得の計算: 役員報酬から、社会保険料の個人負担分を差し引き、所得控除(基礎控除48万円)を適用して、課税所得を計算します。青色申告特別控除は法人役員には適用されません。
- 所得税・住民税の計算: 課税所得から、所得税と住民税を計算します。
- 会社の損金算入額の計算: 役員報酬と、会社負担分の社会保険料を合計し、会社の損金算入額を計算します。
- 法人の課税所得の計算: 利益から、損金算入額を差し引き、課税所得を計算します。
- 法人税等の計算: 課税所得から、法人税、地方法人税、法人住民税(所得割)、事業税を計算します。法人住民税の均等割は、利益がゼロでも発生します。
よくある選択肢:3つのパターンでシミュレーション(2025年最新版)
鈴木さんが考えがちな3つの役員報酬パターンで、会社と個人の年間の総負担額がどう変わるかを見ていきましょう。
パターン1:役員報酬を低め(月10万円)に設定した場合
「会社にお金を残しておきたい」と考えると、役員報酬を低く設定しがちです。
- 役員報酬: 月10万円(年間120万円)
- 個人の負担: 社会保険料や所得税・住民税はかなり低く抑えられます。
- 会社に残る利益: 300万円 - 120万円 - (会社負担の社会保険料) = X万円(後述)
- 会社(法人)の負担: このX万円に対して法人税等がかかります。所得に対する法人税等がゼロでも、法人住民税の均等割は必ず発生します(資本金・従業者数・自治体で金額が変動)。
この場合、会社と個人の総負担額は、年間でおよそ75万円になります。
パターン2:役員報酬を利益の全額(月25万円)に設定した場合
「利益は全部自分の給料にしよう」という考え方です。
- 役員報酬: 月25万円(年間300万円)
- 個人の負担: 報酬額が上がるため、社会保険料や所得税・住民税の負担がぐっと増えます。
- 会社に残る利益: 300万円 - 300万円 - (会社負担の社会保険料) = Y万円(後述)
- 会社(法人)の負担: 会社の利益はほぼゼロになるため、法人税はほぼかかりませんが、法人住民税の均等割は発生します。
この場合、会社と個人の総負担額は、年間でおよそ70万円になります。パターン1より少し負担が減りましたね。
パターン3:シミュレーションで見つけた最適額(月22万円)の場合
では、中間の金額に設定するとどうなるでしょうか。
- 役員報酬: 月22万円(年間264万円)
- 個人の負担: パターン2よりは少し下がります。
- 会社に残る利益: 300万円 - 264万円 - (会社負担の社会保険料) = Z万円(後述)
- 会社(法人)の負担: わずかな利益に対して法人税等がかかります。法人住民税の均等割は必ず発生します。
この場合、会社と個人の総負担額は、年間でおよそ68万円になります。
3パターンの比較まとめ(2025年最新版)
| パターン1 (月10万) | パターン2 (月25万) | パターン3 (月22万) | |
|---|---|---|---|
| 役員報酬(年間) | 120万円 | 300万円 | 264万円 |
| 会社と個人の総負担額 | 約75万円 | 約70万円 | 約68万円 |
| 手元に残るお金 | 約225万円 | 約230万円 | 約232万円 |
いかがでしょうか。役員報酬の金額を少し調整するだけで、手元に残るお金が年間で7万円も変わってくるんです。結構大きな金額ですよね。
「給料を高くすると税金も高くなる」と思いがちですが、法人税とのバランスを考えると、必ずしもそうとは限らないのが役員報酬の面白いところです。
ただし、上記のシミュレーションはあくまで概算です。正確な金額は、社会保険料率、法人税率、法人住民税均等割の金額、事業税の有無など、様々な要素によって変動します。
具体例の透明性
各パターンの「個人手取り」「会社負担」「合計負担」を並列表にし、差額要因(等級変化・税率層)を注記すると、より理解が深まります。
| 項目 | パターン1 (月10万) | パターン2 (月25万) | パターン3 (月22万) |
|---|---|---|---|
| 個人手取り(年間) | |||
| 会社負担(年間) | |||
| 合計負担(年間) | |||
| 差額要因 |
なぜこのような差が生まれるの?
ポイントは、**税金や社会保険料の「料率の壁」**にあります。
- 所得税: 収入が上がるほど税率も上がる(累進課税)
- 法人税: 中小法人は所得金額帯で法人税率が異なり、さらに地方法人税・法人住民税(所得割)・事業税(外形標準の対象/資本金等により)で実効税率が変動します。「ほぼ一定」は誤解を招く表現です。
- 社会保険料: 報酬月額がある一定のラインを超えると、等級が上がり保険料が急に高くなる
これらの複雑な要素が絡み合うため、手計算で最適額を見つけるのは非常に困難です。だからこそ、シミュレーションツールを使って、総負担が最も少なくなる「スイートスポット」を見つけることが大切なのです。
ご自身の状況で最適な金額を知りたいと思いませんか?役員報酬決め方ナビを使えば、今のあなたの状況に合わせた最適な役員報酬額を、2025年度の最新料率で、無料で今すぐ計算できます。計算前提(率・等級・均等割)を自動反映し、年度で切り替えることも可能です。
個人開発者視点の追記
年商500万円の場合、消費税は原則として免税事業者となります。ただし、インボイス登録をした場合や、「特定期間」における課税売上高が1,000万円を超えた場合は、課税事業者となる可能性があります。簡易課税を選択する場合は、選択期限や経過措置(80%/50%)の時期にも注意が必要です。
また、個人開発者として事業を行う場合、SaaS、デバイス、通信費、学習費などの経費が発生します。これらの経費は、事業に直接関連する部分のみを経費として計上できます。按分基準については、税理士に相談することをおすすめします。
実務チェックリスト
- 定期同額給与の提出
- 社会保険の算定基礎届の提出
- 消費税の区分(免税・簡易・本則)の確認
- 法人住民税均等割の金額把握
- 各種税額計算における端数処理の確認
よくある勘違い
- 「利益ゼロなら法人税ゼロ=負担ゼロ」→ 法人住民税の均等割は必ず発生します。
- 「給与を下げれば得」→ 社会保険料の等級が下がることで、かえって個人住民税が増えたり、法人側の税負担が増えることで逆転する可能性があります。
- 「役員も雇用保険に入れる」→ 代表取締役は原則として雇用保険には加入できません。
- 「役員賞与で調整」→ 原則として役員賞与は損金不算入となります(事前に税務署に届け出た「事前確定届出給与」のみ例外)。
まとめ:一人社長こそ、戦略的な役員報酬設定を(2025年最新版)
年商500万円の一人社長の場合、役員報酬をいくらに設定するかで、手元に残るお金は年間数万円単位で変わってきます。法人住民税の均等割や会社負担分の社会保険料も考慮に入れることで、より正確なシミュレーションが可能になります。
今回のケーススタディでは、**月額22万円(年間264万円)**が最適という結果になりました。
もちろん、これはあくまで一例です。あなたの年齢、お住まいの地域、扶養家族の有無、事業の状況によって最適な金額は変わります。ぜひ一度、ご自身の状況でシミュレーションしてみてください。
最後に、とても大切なことですが、最終的な報酬額の決定や税務申告については、必ず税理士にご相談ください。このシミュレーションは、あくまで顧問税理士に相談する前の「たたき台」としてご活用いただくためのものです。
この記事が、あなたの役員報酬決定のヒントになれば幸いです。
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作成日: 2025年10月18日 最終更新日: 2025年10月20日
免責事項: この記事は、一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談に代わるものではありません。役員報酬の決定や税務申告に関する最終的な判断は、必ず税理士にご相談ください。
税理士相談: 役員報酬の決定や税務に関するご相談は、専門の税理士にご相談ください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については顧問税理士にご相談ください。